そろばんは、いつ始めるのか
脳の発達段階から考えると3~7歳です。
脳の情報伝達回路が作られるようになり不要な細胞がなくなり、細胞に磨きをかける時期が効果的ですが、別の角度からも考えてみます。
認知能力と非認知能力
1 「認知能力」とは一般的には知能検査で測定できる能力のことを言います。
そろばんでは、計算力、暗算力ということになります。
2 「非認知能力」とは主に意欲、自信、忍耐、自立、自制、協調、共感などの心の部分である能力のことを言います。
そろばんでは、忍耐力や集中力、自立心、自信(自己肯定感)が育ちます。
非認知能力がなぜ重要なのか?
非認知能力は、個人の成功や幸福において重要な役割を果たします。
困難な状況での対処の上で必要な忍耐力、持続力、向上心を持ち、自己成長やチームワークの向上につながります。
学校や職場でも、非認知能力を持つ人材はリーダーシップや問題解決能力を発揮し、持続可能な成功を築くことができます。
人生を幸福にするには、「非認知能力」の高さは重要だと言われるようになりました。
幼児期の教育が、人の一生を左右する
労働に関する計量分析手法を発展させた実績で2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン米シカゴ大学経済学部特別教授はこう指摘しています。
ヘックマン教授の研究によると幼児期に教育的介入をした人達が大人になったときに追跡調査を続けて分かったことは、幼少期にきちんと教育的な介入を受けていれば、そうでない人に比べて以下のことがわかりました。
- 6歳まではIQテストや学力テストの結果が高い
- 年収が高い
- 持ち家率が高い
- 学歴が高い
- 特別支援教育の受講率が低い
- 留年や落第率が低い
- 犯罪率が低い
教育効果を高められるのは幼児期だけ
ヘックマン教授によると20代で集中的な教育を施しても、幼児期ほど教育効果を高めることはできないということです。
教育効果が高められるのは、非認知能力の高さが挙げられます。
非認知能力である意欲、自信、忍耐、自立、自制、協調、共感が学習効果を上げていきます。
非認知能力は、生涯にわたって伸びる能力で、年齢問わずに鍛えることができますが、特に、1歳頃から5~7歳頃の幼児期に著しく発達すると考えられています。
文部科学省でも学校教育の中で育てる能力として
学習指導要領(2017~2019年改訂版)のなかでもその育成が目指されています。 学習指導要領が育成すべきとして示している資質能力は、1「知識・技能」、2「思考力・判断力・表現力」、3「学びに向かう力、人間性」の三つです。
また、文部科学省では幼児期につけてほしい能力についても言及しています。
「幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿」として「自立心」「協同性」「豊かな感性と表現」といった能力を挙げています。
こうしたことを考え合わせるとおけいこはじめは、3歳から7歳までが最適といえるでしょう。
認知能力と非認知能力を効果的に上げていく時期といえるからです。
ただし、脳は忘れやすいという特徴を持っています。
せっかくついた能力も幼児期だけで終わってしまうと忘れ去られてしまいます。
定着するまでの継続が大切です。
そろばんで伸びる教育効果(非認知能力)6選
そろばんにおいて、また、教室の指導方針によって、伸びる非認知能力を以下の通り厳
選いたしました。
自立心
母子分離教室に限りますが、先生とのやり取りを自分のみで行っていくことに
より伸びます。
意欲・自信
自立心と連動しますが、学習を進めていくうちに自分で達成したという成
功体験が、意欲や自信を自然と高めます。
協調性(協同性)
教室において、他の生徒、先生がいます。何をしたら迷惑になって
しまうのか、どのような態度で臨めばいいのかといったことが、学習を進めていくうちに自然と身につきます。
忍耐力
学習は、正比例で伸びません。必ず当たる壁があります。
そろばんでいうと例えば、珠算検定7級付近が壁になりますが、それを乗り越えた暁に
は、忍耐力が育成されます。
良くない例として、苦戦している子どもを親が応援せず、やる気がないと判断して辞めさせることは、挫折を招き、次の挑戦が難しくなります。
最初の壁にあたっている子どもが、親の力でなく自分の力で乗り越えられると忍耐力が育成され、次の壁、延いては、そろばん以外のすべての困難を乗り越えられるようになっていきます。
自制心
自立心にも似た過程で育成されますが、やる気には、波があるものです。
やる気が起こらない時も効果的に学習するといった心のコントロールは、珠算検定に合格等の目標達成という成功体験をしていく上で身につきます。
集中力
集中力は、忍耐力や自制心、自立心等の集大成となります。心をコントロー
ルし、人に言われずとも自分で忍耐的に取り組む姿勢は、集中力に繋がります。集中力があると学習効果が高まります。
まとめ
- そろばんを始める時期
脳の発達段階を考えると、3~7歳が最適です。この時期に脳の情報伝達回路が作られ、非認知能力の成長に重要な役割を担います。 - 認知能力と非認知能力
- 認知能力は、一般的には知能検査で測定できる能力のことを言います。
- 非認知能力は、主に意欲、自信、忍耐、自立、自制、協調、共感などの心の部分である能力のことを言います。
- 非認知能力の重要性
非認知能力は、人生の困難に対処する力や持続的な成長、チームワークにつながります。また、学校や職場でのリーダーシップや問題解決能力に貢献します - 幼児期の教育の影響
幼児期に教育的介入を受けた子供は、大人になったときに年収や学歴が高く、犯罪率が低いなどの傾向があります。教育効果は幼児期に最も重要で、特に1歳から7歳まで発達していきます。 - そろばんの教育効果(非認知能力の成長)
- 自立心: 先生とのやり取りを自分のみで行っていくことにより伸びます。
- 意欲・自信: 自分で達成したという成功体験が、意欲や自信を自然と高めます。
- 協調性:どのような態度で臨めばいいのかといったことが、学習を進めていくうちに身につきます。
- 忍耐力: 学習は必ず壁にぶつかります。苦戦している子どもを親が応援せず、やる気がないと判断して辞めさせることは、挫折を招き、次の挑戦が難しくなります。子どもが自分の力で壁を乗り越えると、忍耐力が養われ、他の困難にも立ち向かえるようになります。
- 自制心:やる気が起こらない時も効果的に学習するといった心のコントロールは、目標達成をしていく上で身につきます。
- 集中力: 心をコントロールし、人に言われずとも自分で忍耐的に取り組む姿勢は、集中力に繋がります。集中力があると学習効果が高まります。
総じて、そろばんは非認知能力の成長を助け、これらの能力は生涯役に立ちます。