幼児期から小学生のうちに始めたい習い事として、「公文(くもん)」と「そろばん」はよく比較の対象に挙がります。どちらも計算力を高める学習であるものの、指導方法や身につく力、費用などさまざまな面で違いがあります。本記事では「そろばんとくもん、どっちがいいの?」と迷っている保護者の方に向けて、両者の特徴やメリット・デメリット、始める年齢の目安などをわかりやすく解説していきます。
そろばんとくもんの基本概要
そろばんとは
そろばんは日本古来の計算道具を用い、珠の動きを手と頭でイメージしながら計算スピードと正確さを養う学習方法です。
- 指先の動きと頭のイメージ力を連動させて計算するため、集中力や暗算力が身につきやすい点が特徴です。
- 日本では古くから「算数の基礎力を身につける」手段として活用され、暗算競技会なども開催されています。
くもん(公文)とは
くもん(公文)は、公文式と呼ばれる独自のプリント学習を用いて、子どもの学力を段階的に引き上げる教育方法です。
- 個々の習熟度に合わせてプリントを進めるため、繰り返し学習によって計算力を磨き、国語や英語など教科全般も学べます。
- 学校の学年にとらわれずに先取り学習ができるのも特徴の一つです。
そろばんvs.くもん:習い事を比較するポイント
そろばんとくもんはどちらも計算力を育成する習い事として人気がありますが、実際にはアプローチや得られる効果に違いがあります。ここでは保護者が気になる主な比較項目を挙げてみましょう。
学習内容
- そろばん
- 珠算(しゅざん)を使った計算(足し算、引き算、掛け算、割り算)
- 暗算力の育成
- 正確さとスピードに重点を置く競技的要素あり
- くもん(公文)
- プリント学習による計算力・読解力・語学力の習得
- 自分のペースで繰り返し学習
- 算数だけでなく国語や英語にも対応可能
学習効果
- そろばんは瞬時に数をイメージする暗算力が身につき、集中力を高める効果が期待できます。珠をはじくリズム感や指先の運動は脳への刺激にもなるといわれています。
- くもんは反復学習をコツコツ続けることで計算スピードが上がり、基礎的な学習習慣を身につける効果があります。また、算数に限らず国語や英語など幅広い教科を一貫して学べる点も特長です。
コストと時間
- そろばん
- 月謝は地域や教室によりますが、3,000円〜6,000円程度が一般的です。
- 週に2〜3回の教室通いが多く、1回あたり60分程度の指導が標準的です。
- くもん(公文)
- 月謝は教科数により変わり、1教科あたり7,000円前後(地域による差あり)が目安です。
- 指導日は週2回程度で、その他は自宅でプリント学習を進めます。1回の教室滞在は30分程度が多いです。
そろばんのメリット・デメリット
そろばんのメリット
- 暗算力や集中力がアップする
指先を使いながら珠を動かし、頭の中で「そろばんのイメージ」を作るため、短時間で正確に計算する力が育ちます。 - 数字に親しみやすくなる
そろばんの珠を見たり動かしたりすることで、幼い子どもでも視覚的・体感的に数を理解できます。 - 競技としての楽しみもある
段位取得や大会出場など、目標があるためモチベーションを保ちやすいです。
そろばんのデメリット
- 科目の幅が限られる
主に計算力(算数)に特化しており、国語や英語など他の教科に直接つながる学習はありません。 - 学習環境によってはモチベーションが維持しにくい
競技会や検定を受けるなど目標設定をしないと、子どもによっては「ただの計算練習」と感じて飽きてしまう可能性があります。 - ある程度の年齢に達してからのほうが本格的に習得しやすい
指先の動きや数字理解が追いつかない段階で始めると、子どもが戸惑ってしまうケースもあります。
くもんのメリット・デメリット
くもんのメリット
- 学習習慣が身につきやすい
毎日のプリント学習が基本となるため、継続的に机に向かう習慣が作られます。 - 科目の選択肢が豊富
算数に限らず、国語や英語を並行して学べるため、総合的な学力を伸ばしやすいです。 - 先取り学習がしやすい
個人のレベルに合わせてプリントを進めるので、得意な子はどんどん進められ、苦手な子は基礎をじっくり固められます。
くもんのデメリット
- 繰り返しプリントに飽きる子も
同じ形式のプリントを繰り返す学習が合わない子は、モチベーションを保ちづらい場合があります。 - 保護者のサポートが重要
自宅でのプリント学習がメインになるので、保護者がしっかり子どもの進度を把握し、声掛けをする必要があります。 - 月謝が高めになりやすい
教科数が増えるとその分費用もかさみ、家庭によっては経済的負担が大きくなることがあります。
何歳から始める?年齢別のおすすめ
未就学児(4〜6歳)
- そろばん
指先の動きや数字の理解に慣れていない年齢のため、あまり厳しく教えるのではなく、楽しみながら数に触れる程度が理想です。珠をはじく音や感触を楽しむことで、自然に興味を引き出す教室もあります。 - くもん
ひらがなや数字の基礎を身につけるために、プリントを使った学習習慣づくりに向いています。1日に数枚のプリントをこなすだけでも学習意欲が高まるケースが多いです。
小学校低学年(1〜3年生)
- そろばん
計算スピードと正確さが大きく伸びる時期です。小学校で学ぶ算数(足し算・引き算・掛け算・割り算)とリンクし、学校の授業にも良い影響が出やすいです。 - くもん
学校の算数や国語を確実に定着させる反復学習として有効。特に早い段階から読む力や文章理解力を高めたい保護者にとって魅力的です。
小学校中学年〜高学年(4〜6年生)
- そろばん
暗算力が本格的に身についてくる時期です。検定試験で段位取得を目指したり、大会に出場したりする子も増えます。 - くもん
中学内容の先取り学習を始めたり、苦手単元を補強したりと、個々の目的に合わせて柔軟に学習を進めることができます。
専門家の声と統計データ
専門家の声
- 日本珠算連盟の指導者の多くは、「そろばんは早く始めれば始めるほど暗算力が身につきやすいが、強制するよりも子どもの興味を引き出すことが最優先」と指摘しています。
- 公文式の指導者は、「読み書き計算の基礎力をしっかり固めることで、将来的な学習全般の土台ができる」としており、子どものレベルに合わせたペースで進める重要性を強調しています。
統計データの一例
- 日本珠算連盟が実施した小学生を対象とした調査によると、そろばん学習を2年以上続けた子どもの約80%が、「暗算が得意になった」と回答しています。
- 公文教育研究会のデータによれば、くもんで算数を1年以上継続している小学生の約70%以上が学年より先の内容を習得しているとの結果も報告されています。
これらのデータからも、継続的な学習が学力向上に大きく影響することがわかります。
どちらを選ぶ?判断のポイント
そろばんとくもん、どちらも一長一短があり、子どもによって向き・不向きがあります。選ぶ際の判断のポイントをいくつかご紹介します。
- 子どもの興味や性格
- そろばんの珠をはじくのが楽しい、数字をイメージするのが得意でスピード勝負が好きな子はそろばん向き。
- コツコツとプリントを進めるのが得意、読解力や語学力にも力を入れたい子はくもん向き。
- 学びたい教科や目的
- 暗算を強化したい、算数に特化したい場合はそろばん。
- 国語・英語など幅広く学びたい場合や、総合的な基礎学力を固めたいならくもん。
- 保護者のサポート体制
- そろばんは週2〜3回の教室以外では自主練習が少なめでもOK。ただし、上級にいくほど毎日練習しないと昇級できなくなっていくので、初めは1日10分でも良いので毎日練習をする習慣を身に着けるサポートが必要。
- くもんは日々のプリント学習が基本なので、保護者のフォローが不可欠。
- 費用や通いやすさ
- そろばん教室は比較的費用負担が少なく済むが、教室が近所にあるかを要チェック。
- くもんは月謝がやや高めになりがちだが、全国に教室が多く通いやすい場合が多い。
まとめ
「そろばんとくもん、どっちがいい?」という問いに対しては、子どもの性格や学びたい内容、保護者のサポート体制によってベストな選択肢が変わってきます。どちらも正しく継続すれば、計算力や学習習慣を身につけるには非常に効果的です。以下のポイントを最終的な判断材料にしてみてください。
- そろばんは暗算力・集中力の育成に強く、数字に親しみたい子におすすめ。
- くもんは総合的な学力や学習習慣を身につけたい子に向いており、国語や英語も同時に学べる。
- 始める年齢は4〜6歳からでも可能ですが、子どもが嫌がらずに取り組めるタイミングで始めるのがベスト。
- 続けるほど力がつくので、子どものペースに合わせて長期視点で取り組むことが大切。
迷った時は、まずは体験教室や見学に参加してみるのがおすすめです。実際に子どもの反応を見ながら、そろばん・くもんそれぞれの良さを比較検討してみてください。保護者としても一緒に学びを楽しむことで、子どものモチベーションをより高めることができるでしょう。
当記事が「そろばん くもん(公文) どっちがいい?」とお悩みの保護者の皆さまにとって、少しでも参考になれば幸いです。お子さまに合った習い事を選んで、楽しく効果的な学びの時間をスタートさせてあげてくださいね。